認知症の症状で幻覚や幻聴・見当識障害が出た時はどう対応するべき?
認知症になると良く見られる症状は、「幻覚」「幻聴」「見当識障害」です。しかし、これらの症状は認知症になったからといってすぐに出てくるわけではありません。
これらはどんな症状で、どの段階で出てくるのか詳しく知っておきたいですよね。
ここでは、「幻覚」「幻聴」「見当識障害」の症状や対応策などについてご紹介していきます。
目次
認知症になると見られる「見当識障害」
見当識は自分が置かれている状況を認識する能力のことで、その見当識に障害が起きると日付や時刻、場所などが分からなくなってしまいます。
この見当識障害ですが、認知症になってどの段階で出てくるのか、どのような症状が現れるのか知らない人が多いと思います。
ここでは、見当識障害について詳しくご紹介していきたいと思います。
症状が現れる時期
認知症になるとさまざまな症状が進行状態によって現れるようになります。初期から現れるものもあれば、進行していくと現れる症状もあります。
では、見当識障害は認知症になると、いつ頃から現れるのか見ていきましょう。
見当識障害は、認知症になると初期の段階から症状として現れ、中期や後期頃まで症状として現れる方もいます。
見当識障害になるのは、認知症を発症したことによって脳が委縮していくためです。脳が委縮することによって、記憶を司る部分に障害が出るためです。
この見当識障害が現れると日時だけでなく、家族や周りの人を理解することが出来なくなってしまいます。
症状の現れ方
見当識障害はさまざまなことを忘れてしまうのが特徴ですが、どのような症状の現れ方をするのでしょうか。
ここでは、見当識障害になるとどのような症状が現れるのか見てみましょう。
日時や季節などが分からなくなる
見当識障害になると、時間の感覚に症状が現れることが多いです。認知症でなくても時間を間違えたりすることがありますが、見当識障害は高い頻度で日時を間違えたりします。
また、症状が進むと昼夜が分からなくなったり季節が分からなくなったりします。
場所が分からなくなる
外出した際自分がいる場所が分からなくなったり、場所の認識が出来なくなったりします。
また、症状が進むと自宅の場所が分からなくなったり、自宅のトイレの場所が分からなくなったりします。
周りの人が分からなくなる
見当識障害の症状が進むと、家族を理解できても周りの人を理解することが出来なくなります。
見当識障害の対応策
このように見当識障害が出るとさまざまな症状が現れます。このような症状が出た時きちんと対応していくことで、認知症になった方もその家族もストレスなく接することができます。
ここでは、見当識障害の対応策について見てみましょう。
話を合わせるようにする
どうしても間違ったことを言うと否定してしまいがちですが、それでは興奮させたり自尊心を傷つけたりすることになってしまいます。
話を否定しないで合わせるようにし居ていくといいでしょう。
日時が分からない時はカレンダーなどを利用する
見当識障害の初期の段階ならば、見やすい大きめのカレンダーなどを用いて日付に丸をつけるということを毎日行ってもらうと忘れにくくなります。
また、家族の方も時間など沢山声かけするといいでしょう。
リハビリを行って脳に刺激を与える
脳に刺激を与えるリハビリや散歩などを行うことで、進行を遅らせることができます。
本人が嫌がっているのを無理に行う必要はありませんが、出来るだけ声かけをしてリハビリなどを行ってもらうようにしましょう。
認知症になるとみられる「幻覚」
幻覚は、実際ないものを視覚など五感で感じるという症状です。
実際そこにはないものを見えたりする「幻視」は、認知症になった方が特に訴えることが多いものです。この幻覚という症状は認知症になると、どの段階で現れるのかどんな症状が現れるのか知らない人も多いと思います。
ここでは、幻覚について詳しくご紹介していきます。
症状が現れる時期
見当識障害は認知症の初期から現れる症状でしたが、幻覚はどの段階で出てくる症状でしょうか。ここでは、幻覚が現れる時期について見ていきましょう。
幻覚は認知症を発症してから中期になると現れる症状で、認知症の種類や進行度によって違いますが、認知症の後期まで症状として現れる方もいます。
また、レビー小体型認知症の場合は初期の段階から症状として現れることもあります。幻覚は認知症になって脳に異常が起きると思われがちですが、そうではなく脳に異常が起きなくても起きる場合があります。
ただ、脳に異常が起きると幻視などが訴えが多くなります。
症状が現れる原因
幻覚は実際にないものを視覚などの五感で感じてしまうことですが、どうしてそのような症状が現れるのでしょうか。
ここでは、幻覚という症状が現れる原因について見ていきましょう。
目が悪い事などが原因
目が悪い時など見間違いなどが起こりやすくなります。脳に異常がなくても壁のシミなどが人の顔に見えたりすることがあります。
ただ、脳に異常がない場合は、良く見たりすることで自分の見間違いだと思うことができます。
しかし、脳に異常があると見間違ったものをそのまま思い込んでしまい、さらに妄想が重なることによって幻覚が現れる原因になってしまいます。
レビー小体型認知症の主な症状
幻覚はレビー小体型認知症で良く見られる症状です。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症の次に多い認知症で、脳の神経細胞がたくさん集まっているところに異常なたんぱく質が溜まってしまうことにより幻覚が起きてしまいます。
また、パーキンソン病の薬の副作用でも幻覚が起きることがあります。
幻覚の対応策
このように幻覚はさまざまな原因で現れることが多い症状です。このような症状が出た時正しい対応をとらないと症状がひどくなったりすることがあります。
ここでは、幻覚の症状が出た時の対応策について見ていきましょう。
否定しないようにする
幻覚は実際に何も見えてなくても、本人は見えたりしているので否定したり、そのことによって怒らないようにしましょう。
あまり否定ばかりされてしまうと混乱したり、不安感が強くなってしまい、幻覚の症状がひどくなってしまうので注意しましょう。
安心させるような声かけを行う
幻覚の症状はずっと起こっているわけではないので、「知らない人がいる」など訴えてきた場合「お客さんが来ているのかもしれない」などと言って安心させるような声かけを行うといいでしょう。
また、訴え自体を否定するのではなく例えば「どこにいますか?」など相手の訴えを受け入れるような形で、声かけをするようにすると安心させることができます。
認知症になるとみられる「幻聴」
認知症になると幻視などとともに現れる症状が「幻聴」です。
幻聴も幻覚の1種で実際には聞こえないものが聞こえます。認知症になると幻視とともに特に訴えが多い症状です。
この幻聴は認知症になるとどの段階で症状として現れるのでしょうか。
ここでは、幻聴について詳しくご紹介していきます。
症状が現れる時期
幻覚は認知症になると中期から後期頃に症状として現れます。では、幻聴はどの段階で症状として現れるのか見てみましょう。
幻聴は、幻覚と同じく認知症の種類や進行度によって違ってきますが、認知症の中期から人によっては認知症の後期に現れる症状です。
ただし、レビー小体型認知症の場合は初期の段階から症状として現れることがあります。
幻聴も幻覚と同じく脳に異常がなくても起きますが、脳に異常があると幻聴が聞こえるという状態が頻回に起こってしまいます。
症状が起こる原因
幻覚と同じく幻聴が聞こえるという症状が起きるのには原因があります。それでは、どんなことが原因で症状が起きるのか見てみましょう。
脳の萎縮が原因
認知症が発症することにより脳が委縮してしまうことが原因で、幻聴が聞こえるということが起こります。
また、認知症になる方の大半が高齢者の方で聴覚が低下していることが原因で起こることもあります。
環境が変わることが原因
認知症になって施設に移ったりすることで、今までの生活環境が変わってしまうことが原因で、不安になってしまい幻聴が聞こえたりします。
これ以外にもレビー小体型認知症が原因で起こる場合や、パーキンソン病の薬の副作用で幻聴が起こることもあります。
幻聴の対応策
幻覚と同様にさまざまな原因で幻聴という症状が出てきます。このような症状が出てきた場合きちんとした対応をしないと症状を悪化させる原因にもなりかねません。
ここでは、幻聴の対応策について見てみましょう。
混乱させないようにする
幻聴が聞こえる方にとって聞こえていることは幻聴だと思っていません。そのため否定したり怒ったりすると頭の中が混乱したり、それによって不安に感じたりするようになります。
そうさせないためにも否定しないで、相手の話を聞いてあげるようにしましょう。
安心させるようにする
幻覚と同じく訴え自体を否定してしまうと不安に感じてしまいます。相手の話を受け入れて安心させるような声かけなどを行うようにしましょう。