風邪のウイルスが体の中で死滅するまでの期間はどれくらいかかる?
鼻水もおさまり微熱などもひくと風邪も治ったのかなと考えます。
体調もまだ十分でなく1週間たっても、倦怠感がおさまらないといつになったら風邪が治るのかなと思いますよね。
では、風邪のウイルスは、体の中で死滅するまでにどれくらいの期間がかかるのでしょうか?
そのような点についてご説明します。
風邪のウイルス
風邪の原因としては、90%がウイルスで後の10%は細菌やクラミジア、非感染因子としての寒さやアレルギーなどです。
風邪の原因となるウイルスは、200種以上あると言われています。
一般的な感冒の代表としてのウイルスはライノウイルスですが、このウイルスの種類だけでも100種類以上あるのです。
風邪のウイルスで一番多いのは?
風邪の原因となるウイルスで圧倒的に多いのは、ライノウイルスです。
鼻の中、鼻腔でこのライノウイルスは増殖します。
このウイルスは酸に弱いもので、ph3~ph5で感染性を失うと言われています。
特に、胃などに入ると感染性は失われるでしょう。
また、温度感受性といって33℃では増殖できるのですが、39℃では増殖はできません。
鼻腔内では、これらの条件が当てはまりますので、増殖するのにライノウイルスには適した場所となります。
ウイルスが死滅しないのは?
様々な条件で感染性を失う事があっても、ウイルスが死滅するわけではありません。
ウイルスは、生きているが感染はできないという状態になっているということです。
ウイルスというのは、何も外的な刺激を与えなければ基本的には死滅しないので、もし風邪の感染者が触れた物にはいつまでもウイルスが存在しているということになります。
例えば、風邪の感染症の原因となるウイルスは椅子や机、ドアノブなどに付着すると、その後、数週間から数ヶ月ほども死滅せずに生き延びます。
以前は、これらのウイルスは人などの体外では、すぐに死滅するものと考えられていたようです。
しかし、ある実験で人体に取り付いたウイルスがバイオフィルムといって、歯垢や水垢などのようなヌルヌルしたものであるバイオフィルムを形成すると、耐性を持つようになると判明しました。
ウイルスが単独でバイオフィルムをまだ形成せずに存在している状態では、手の表面やプラスチックなどの非生物の表面などに付着すると、すぐに乾燥してウイルスとしての活性は失われていました。
しかし、ウイルスがバイオフィルムを形成した後では生存期間が延び、たとえ生物の体内でなくても長期間にわたり感染力は衰えないとのことです。
このように、バイオフィルムを形成したウイルスは感染力の維持ができるようになり、人体に感染しやすくなります。
今までは、感染者のクシャミや咳によってウイルスが空中に漂い、それを吸い込んだ場合にのみ感染すると思われていましたが、それ以外でもウイルスが体外に放出されてもバイオフィルムを形成することができれば、数週間や数ヶ月間にわたって生きて感染力を持つということです。
そして、バイオフィルムが形成された箇所に人が手などで触れると、そこから感染するということになります。
感染者の治療
風邪に有効な薬剤というのは実質ないので、対処療法で鼻水を抑えるための薬とか熱を下げる解熱剤で対応しています。
抗生物質はウイルスには効きませんので、感染症の患者には抗ウイルス剤を使用します。
このように、毒性をウイルスに対してのみ発揮できるという薬は一般に開発が難しいものです。
風邪のウイルスが体の中で死滅するまでの期間
このようにウイルスの耐性が、かなり強靭なものであることがわかりましたが、では人の体内ではどれぐらいの期間影響があるものなのでしょうか?
発熱などで39℃ほどの高熱が出るとかなりウイルスも減少します。
また、酸に弱いという点から風邪が治りかけて免疫力も高まり、体の機能が正常にもどると次第に感染性を失うと考えられます。
しかし、個人によって期間は違いますので、死滅するまでの期間もかわってくると考えられます。
風邪をひく方が多くなる季節では、ウイルスは様々な場所でバイオフィルムを形成しています。
手洗いやうがいなどをこまめにして、ウイルスからの感染を防ぐようにしてください。